海辺の小さな町で医師として働く主人公・俊英のもとに、ある日彼の憧れていた女性と“ソックリ”な亜子が現れる。胸ときめくも束の間、彼女の”こじらせ女子”っぷりに俊英の理想像はあっけなく砕けるが、図らずも亜子は俊英一家のもとで暮らすことに…。
悪い予感が的中し、亜子に振り回される俊英。だが、諦めきれない夢と現実の間で傷ついている亜子の素顔を知るにつれて、淡々と生きていた彼の何かが変わっていく。亜子もまた、俊英やじいさんや家政婦のきよさん達との“家族の食卓”に安らぎを見出していった。やがて、二人の心に新たな感情が芽生え、何気ない日常がかけがえのないものになっていくが…。
主人公・俊英を演じるのは、『前田建設ファンタジー営業部』(20)『異動辞令は音楽隊!』や、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」が控えるなど目覚ましい活躍を続ける高杉真宙。その主人公の憧れの人と”ソックリ”でありながら、真逆なイメージの亜子には、映画『町田くんの世界』(19)で主演を務め、『コンフィデンスマンJP』シリーズ(20,22)、『ウェディング・ハイ』(22)、ドラマ「元彼の遺言状」(22)など話題作への出演が続く注目の若手女優・関水渚。抱いた夢を諦めきれず傷つきながらも、一緒に暮らすことになった俊英と彼の家族の温かさに触れ次第に自分自身を取り戻していく純粋でまっすぐなヒロインを瑞々しく演じている。
突然やって来た亜子を大らかに受け入れ、二人をさり気なく、時には好奇心いっぱいで見守るのは、個性豊かな愛すべき家族たち。診療所の院長で包容力のある俊英の祖父“じいさん”役を、石橋蓮司。愛情深くて猪突猛進な家政婦“きよさん”役に、演劇界から芹川藍。思い込みの激しい俊英の“叔母さん”役を水島かおり。また、人気のDJ松永(Creepy Nuts)が、俊英の親友・洋司役で劇場映画初出演。俊英の元婚約者に小野ゆり子、ほかに佐藤貢三、中島歩、江頭勇哉らが顔を揃える。
監督は、『8月のクリスマス』(05)、『西の魔女が死んだ』(08)などを手掛け、温かな目線と細やかな心情描写で味わい深い感動を生み出してきた長崎俊一。脚本は、この2作を含む脚本で長崎監督作品に寄与する矢沢由美。今回、矢沢が温めてきた10年越しのオリジナル企画が、スクリーンに結実した。主題歌は、1992年にリリースされた竹内まりやの名曲「幸せの探し方」。名作アルバム『Quiet Life』に収められた本楽曲が、傷つき⼾惑いながらも”幸せ”探しを模索する主人公たちの背中をそっと押すように、物語を優しく彩ります。
家族であるということ、人と人とがつながるということ。そのどこか懐かしい、温かくて幸せな空気感が観る者をそっと包み込む。
海辺の小さな町。祖父である“じいさん”(石橋蓮司)が院長を務める診療所で医師として働く俊英(高杉真宙)は、じいさんや家政婦の“きよさん”(芹川藍)と一緒に暮らす、そっけない態度に優しさを隠した不器用な若者。ある日、そんな彼の前に、思い込みの激しい叔母さん(水島かおり)に連れられて、亜子(関水渚)という女性が現れる。なんと亜子は、俊英が思いを寄せていた、ある女性にそっくりだった。
だが早々に感情をあらわにして“騒ぎ”を起こした亜子に、憧れていたイメージはあっけなく壊される。しかもそんな彼女を心配したじいさんの一言から、亜子はこの家でしばらく暮らすことに。こうして図らずも、じいさん、きよさん、俊英、亜子の4人の暮らしが始まった。
亜子の言動に振り回され、腹を立てたり、心配したりと、いつもは冷静なのに熱くなる俊英。彼の不器用な気遣いとじいさんの大らかな優しさに包まれて、ほどなく亜子は心を開き、素直な自分を取り戻していく。はじめは亜子を快く思っていなかったきよさんも、子供のようにまっすぐな気性を知って、彼女を好きになっていった。
そんな亜子には事情があった。仕事も続かず何も取り柄のない自分に自信が持てず、不安と苛立ちのなか、親が勧める結婚に応じてしまったのだという。でもずっと努力しながらも叶わなかった、ある夢を諦めきれず、東京を離れ、ふらりとこの海辺の町にやって来た・・・。
俊英は、初めて亜子の心の内を知る。そして叶わぬ夢と現実の間で傷つきながらも、自身と正直に向き合っている目の前の亜子の存在が、面倒なことから逃げて、どこか流れのままに淡々と生きてきた俊英の心を揺さぶっていく。日々大きな笑顔になっていく亜子。その笑顔を記憶の一部に収めようとする俊英。
一方、亜子は、俊英やじいさん、きよさんたちと囲む、笑顔あふれる“家族の食卓”に、安らぎを見出していった。作ってみた料理に俊英たちが喜んでくれた時、ありのままの自分を認めてもらえた幸せを感じる亜子。やがて彼女は、診療所の清潔だが何もない壁に、病院を訪れる子供たちが喜ぶような動物のイラストを描いて飾ろうと初めて自ら思い立つ。クールで殺風景だった俊英のリビングも、タンポポの鉢が置かれ、雑貨が飾られ、亜子の画材が並び、少しずつ雑然とした温かみのある雰囲気へと変わっていった。それは、亜子と俊英がともに一緒の“居場所”を作っていった時間の証。
一緒にいられるいつもの日常が、いつまでも続くようにと願う。口には出さないけれど、その温かくて切ない気持ちは、今や俊英も亜子も同じだった。さらには彼らを見守るじいさんやきよさんにとっても・・・。
だが、そんなある日、一本の電話が入る・・・。
10年前、脚本家・矢沢由美が、空を見上げながら、スケッチブックに「いつか、いつも・・・・・・いつまでも。」と書いたとき、物語は始まった。
いつか”出会う大切な人と、
“いつも”一緒にいられる日常、
そんな幸せが“いつまでも”続くようにと願う――
という願いを込めたこの言葉には、「“いつまでも”このままでいたいけれど、“いつまでも”このままではいられない。だから今を大切にしたい」という喪失の切なさが隠れていると矢沢は言う。そして「雲には色んな形があって、大きいものがちぎれていったり、ちぎれた雲がまた一緒になったり、家族のようだなと感じたんです」。
そんな思いをタイトルにのせ、矢沢は、小説のようにボリュームのある長い脚本を一気に書き上げた。それを読んだ長崎俊一監督は、登場人物たち全員のキャラクターの魅力に圧倒されたという。「こんな人いる!」と親近感を感じさせるじいさんや叔母さん、家政婦のきよさんといった登場人物たちは、矢沢が、親戚や身近な人たちからインスピレーションを受けて作り出したもの。そして彼ら“家族”が見守る主人公たちの恋について、矢沢はこう語る。「特に大事件が起きるわけではない普通の暮らしのなかで、ラストへと向かう二人の感情の流れや機微を描くことにとても気を遣いました。同時に意識したことは、常に家族の誰かが誰かを見ている、という温かさを描くことでした」。
やがて、映画作品として現実的な長さに書き直した脚本をもとに、原作物全盛の映画界には稀なオリジナルストーリー作品『いつか、いつも……いつまでも。』のプロジェクトが動き出す。
長崎監督は語る。「コミカルな要素もある脚本のライトなテイストを生かしつつ、リアリティとのバランスが取れるラインを意識しました。その一方で、脚本に隠された“喪失感”を、ラスト近くのどこかでふと感じられるようにしないといけない、と考えました」。
人間の奥行のある感情を描き出す名匠・長崎俊一監督と、温かな目線の人間観察者である脚本家・矢沢由美とのタッグが生み出した本作。寛容さを失いがちな今、その温かな世界観に心が癒されることだろう。
長崎俊一監督のもと、日常における繊細な心情を描くがゆえの難しさをはらんだ本作に、実力あるベテランスタッフが集結した。 スタジオに建てられた市川家のセット。そこを流れる時間や、「朝」や「昼」や「夜」は、照明によって作り出された。朝食時ならこちら側の窓から、夕方なら別の側から、と強い光を入れる場所を替え、光の色や濃さなどの変化で時間帯を表現。さらには、俊英と亜子の切なさに満ちたシーンでは、部屋を満たす窓からの光が夕焼けのオレンジ色から黄昏の藍色へと変わっていく、その光の表情と時の移ろいを1シーンの中で情感豊かに再現した。またカメラワークに関しては、壁などを外して撮影できるセット撮影の利点に加え、移動の撮影を多用することで、演技の流れを途切れさせない撮影がなされていった。 市川家の住まいには、診療所が繋がっている。その現場は、病院のロケセット。コロナ禍で撮影が一年延期となり、準備再開が決まったタイミングで“市川家の住まいに似通った雰囲気の、閉院した病院が見つかる”という幸運に味方されての撮影だった。また印象的なのは、診療所の出入り口として登場する緑豊かな小道。この小道が診療所と外の世界を繋ぐことで、この町に存在する「市川家」というリアルなイメージが立ち上がった。 撮影は、2021年10月。メインとなる「市川家」のセットでの撮影のほか、診療所や小道などのシーンは静岡県沼津市で、俊英が亜子を迎えに行く海は、千葉県富津市の布引海岸で撮影された。
本作は、2021年4月に事務所を独立した高杉真宙にとって独立後初の主演映画。”座長”としてのプレッシャーを感じながらも「スタッフとキャストのみなさんが、楽しくいい作品を作れるよう心掛けた」という彼は、「温かい作品なので、温かい現場になればいいなと思いながら撮影に臨みました」。
主人公・俊英の役柄については、「”一度決めたらこう”という頑固な性格が自分自身と似ていると思います」と語る高杉。ヒロイン・亜子を演じる関水渚とは初顔合わせの彼は、撮影シーンの約8割が共演シーンということもあり、「リハーサルや本番を通してやりづらいところを確認したり、また撮影の合間に積極的にコミュニケーションを取りながら役を作り上げていった」という。「今までは一人で考えて、撮影に臨むことが多かったんです。でも今回、一緒に相談しながら演じていく楽しさを実感しました」。
一方の関水は高杉について「最初は緊張したのですが、すごく優しく接していただいたおかげで、リラックスして亜子を演じることができました」と振り返る。監督からは「感じたままにやってほしい」と要望されたという彼女だが、最初のうちは「亜子にはこういう過去があって、こういう理由で動いているんじゃないか」と計算してしまう部分もあったと明かす。だが市川家の家族を演じるキャストとの人間関係が深まるにつれ、自然に亜子を演じられるようになり、やがて「友達と電話している時に、私の意見なのか亜子の意見なのか、わからなくなったり(笑)」するほど、亜子と“一体化”しているような不思議な感覚を味わった。「亜子が俊英の家族と出会って日々を過ごしたように、撮影中は、私自身もスタッフさんやキャストのみなさんと楽しい毎日を過ごさせていただきました」。
難しい役と真摯に向き合い見出していった、二人の息の合った確かな演技。「スタッフさんとの距離も近く、みんなで一緒に作っている感覚がすごくあった作品だと思います」と振り返る高杉を、監督は「主人公・俊英の不器用さや頑固さを見事に表現してくれて、素晴らしかった」と絶賛する。また、関水については「複雑な役柄をチャーミングで愛おしくなるキャラクターに作り上げてくれた」と手放しで賞賛した。
本作の主な舞台、市川家の家は、じいさんやきよさんたちと一緒に暮らしたくなるような、生活の温もりのある場所だ。一階は、皆が食卓を囲むダイニングと台所、じいさんの和室、家政婦のきよさんの和室、そして縁側がある昔ながらの造り。そして二階は、クールな雰囲気の俊英のエリア。彼が昔使っていた部屋、仕事部屋や寝室、リビングなどからなる。 室内のディテールに関しては、物語を生み出した脚本家・矢沢由美の世界観が、美術部や装飾部の手によって、レトロな装飾ガラス窓からテーブル、ソファ、部屋に置かれたサボテンの形に至るまで緻密に具現化されていった。使い勝手の良さそうな台所にはきよさんの人柄が表れ、学習机が置かれて摸試のチラシや天体のポスターが貼られた俊英の昔の部屋からは、高校時代までの彼が想像できる。そして、亜子の手によってタンポポの鉢や雑貨が加わり、彩り豊かな温かい雰囲気に変わっていった俊英のリビング・・・。台詞で表現されなくても、そこで暮らす者の歴史や痕跡、暮らしてきた時間の証を雄弁に物語る「家」。それは、本作の物語をより深く味わうためには欠かせない、魅力的な存在となっている。
俊英とじいさん、そして家政婦のきよさんからなる市川家の暮らしの真ん中には、食がある。この家にやって来た亜子は、“家族の食卓”に癒されて自分を取り戻し、そして自ら料理を作ることで、家族のようなつながりを実感していく。美味しいご飯を食べながら、笑い合える幸せ。辛いときには、何ということのない会話や、ただ黙ってそばに居る誰かの存在が心を癒す。そして亜子は、悲しいとき、大きな決断をしたときにこそ、生きていく元気を全身に取り込もうとするかのように、モリモリ食べるのだ。
そんな家族の心を繋ぐ食卓に並ぶ、いかにも美味しそうで彩り豊かな料理の数々は、フードコーディネーターの小野秋によって考案された。脚本を読み込み、「この人だったらどんな料理を作るだろう」ときよさんや亜子のキャラクターについて想像をめぐらせた彼女は、季節感や土地柄にもこだわり、彼ら家族がどんな食卓を囲むのかを見出していく。こうして物語のリアリティを支えるメニューが生まれ、それらを長崎監督と脚本家の矢沢に提案する形で映画作りが進んでいった。
たとえば亜子が作る“ふわふわシュウマイ”は、少々大胆なところがある亜子のイメージを生かすと共に自信作ということが伝わるような、ビッグサイズでボリューム感あふれる印象的な一品となった。また休憩中の俊英に亜子が作ったオムレツサンドからは、診療時間中に胃もたれすることなく、それでいて満足感を得られるようにという思いやりが垣間見える。ちなみに亜子が作るおやつ“紫芋のきんつば”は、劇中で亜子役の関水渚が実際に作ったもの。彼女の飲み込みの早さは料理の指導をした小野を驚かせたという。
一方、家政婦のきよさんが作るのは、温かい人柄がにじみ出る、家族の健康を気遣ったお腹に優しくてシンプルな昔ながらの家庭料理の数々。海辺の町という設定から、鰹のたたきやお誕生会のバラちらしといった新鮮な魚料理をメインに、季節を感じさせる若竹煮、鶏つくねと蕪の煮物などが並び、手作りの糠漬けが欠かさず食卓に上った。それらの料理は大皿に盛られ、皆がそこから小皿に取り分けて食べるといった、どこか懐かしい家族の暮らしを象徴する形でコーディネートされた。またさらには、野菜といえば煮物だった食卓に緑鮮やかなサラダが登場、というように、亜子ときよさんが仲良くなるにつれて食卓が変化する様も表現された。
家族のお腹を満たす美味しい料理の数々と心を癒す家族で囲む食卓は、俊英と亜子が大切なものに気づき、お互いの距離を縮めていくために重要な役割を果たしている。
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じいさん(祖父)や家政婦のきよさんと一緒に暮らす、じいさんが院長を務める診療所の若き医師。感情表現が下手で一見冷静、実はそっけない態度に誠実な優しさが隠れている不器用な若者。ある日、ずっと想いを寄せていた女性にそっくりな亜子が現れたことで、流れのままに淡々と生きてきた彼の心が揺さぶられていく。やがていつの間にか、亜子のいる日常が大切なものになっていき・・
Profile 1996年生まれ。2009年に舞台「エブリリトルシング‘09」で俳優活動をスタートさせる。映画『カルテット!』(11:三村順一監督)にて初主演。13年、「仮面ライダー鎧武/ガイム」に出演し注目される。映画『ぼんとリンちゃん』(14:小林啓一監督)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。『散歩する侵略者』(17:黒沢清監督)では毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞受賞。その後の主な映画出演作に、『笑顔の向こうに』(18:榎本二郎監督)、『十二人の死にたい子どもたち』(19:堤幸彦監督)、『前田建設ファンタジー営業部』(20:英勉監督)、『糸』(20:瀬々敬久監督)、『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』(21:松井大悟監督)、今夏公開の『異動辞令は音楽隊!』(22:内田英治監督)など。また、「賭ケグルイ」シリーズ(ドラマ18,19:TBS、映画19,21:英勉監督)、ドラマ「婚姻届に判を捺しただけですが」(21:TBS)、舞台「てにあまる」(20)や「ライフ・イン・ザ・シアター」(22)などジャンルに縛られず数多くの話題作に出演。さらにはバラエティー番組「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ)にレギュラー出演など演技以外にも活動の場を広げている。今秋スタートのNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」への出演も決定。
俊英たちと一つ屋根の下で暮らすことになった女性。仕事も続かぬ自分に自信が持てず、親の勧める結婚に応じてしまったものの、諦めきれない夢と現実との間で傷ついて、東京からふらりと俊英の暮らす町にやって来た。早々に“騒ぎ”を起こして俊英たちを振り回すが、素顔は純粋で思いやりのある、まっすぐな性格。“家族の食卓”や俊英との時間のなかで、本来の自分を取り戻し、幸せを見出すが・・・。
Profile 1998年生まれ。2015年、「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに選ばれる。17年、「アクエリアス」の CM でデビュー。19年、映画『町田くんの世界』(石井裕也監督)のオーディションで1000人を超える中からヒロインに選ばれ、映画初主演を務め女優デビュー。同作の演技により、山路ふみ子映画賞山路ふみ子新人女優賞、毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、ブルーリボン賞新人賞、キネマ旬報ベストテン新人女優賞など数々の賞に輝く。その後も、『カイジ ファイナルゲーム』(20:佐藤東弥監督)、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(20)、『コンフィデンスマンJP 英雄編』(22:いずれも田中亮監督)、『ウェディング・ハイ』(22:大九明子監督)などの話題作に次々と出演。「4分間のマリーゴールド」(19:TBS)、連続ドラマ初主演を務めた「八月は夜のバッティングセンターで。」(21:TX)、「元彼の遺言状」(22:CX)など、ドラマでも活躍。
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町の皆から頼りにされている診療所の院長で俊英の祖父。診療所と繋がった古い家で、俊英や家政婦のきよさんと暮らしている。見知らぬ亜子を受け入れる、人生経験に裏打ちされた包容力の持ち主。俊英と亜子をさり気なく見守る。
Profile 1941年生まれ。劇団第七病棟を主宰。数々の演劇、映画、ドラマで活躍。降旗康男、熊井啓、市川崑など巨匠達の作品で、そして阪本順治、三池崇史、行定勲、堤幸彦、北野武といった次世代の監督作品においても無くてはならない存在に。『浪人街』(90:黒木和雄監督)、『われに撃つ用意あり』(90:若松孝二監督)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞。数々の賞を受賞した『今度は愛妻家』(10:行定勲監督)、『アウトレイジ』(10:北野武監督)などの他、近年の出演作に、いずれも阪本順治監督による、主演作『一度も撃ってません』(20)や『冬薔薇』(22)、今夏公開の『破戒』(22:前田和男監督)、『ハウ』(22:犬童一心監督)など。
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じいさんと俊英の暮らしを守り続ける、愛情深くて猪突猛進なの家政婦。じいさんにもキツイことをあっけらかんと言える、気の置けない“家族”の一員。美味しい食事を作り、皆で食卓を囲む日常を大切にしている。
Profile 1950年生まれ。演出家、役者、劇作家、アクティングセラピストとして活躍。1974年、劇団青い鳥を創立。以降の劇団青い鳥上演全作品の演出、90年までの上演作品の劇作、あるいは出演をする。1985年初日通信大賞助演女優賞受賞。1986年初日通信大賞主演女優賞受賞。1986年紀伊國屋演劇賞受賞。1992年東京ジャーナル演劇部門賞受賞。映画出演作には、篠崎誠監督の『忘れられぬ人々』(01)や『犬と歩けば チロリとタムラ』(04)、『今宵、ほろ酔い酒場で』(17:長尾直樹監督)、『夜明け』(19:広瀬奈々子監督)など。
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思い込みが激しく、機関銃のようにしゃべる。人には温かい天真爛漫な俊英の叔母。人の話をほとんど聞いていないため、早とちりもしばしば。しょっちゅう実家であるじいさんの家に顔を出し、嵐のように去っていく。言葉の端々に、家族への愛情やきよさんへの感謝がにじむ。
Profile 1964年生まれ。ドラマ「小さな追跡者」(80:CX)で主演デビュー。80〜90年代には主演・レギュラー出演のドラマ作品多数。映画デビュー作は、『ねらわれた学園』(81:大林宣彦監督)。主な出演作に、『シコふんじゃった。』(92:周防正行監督)、『TOKYO EYES』(98:ジャン=ピエール・リモザン監督)、『酒井家のしあわせ』(06:呉美保監督)、『ハナミズキ』(10:土井裕泰監督)、長崎俊一監督作品では、主演作の『ロマンス』(96)や『ドッグス』(99)、『闇打つ心臓』(06)ほかに出演する。本作では、脚本家・矢沢由美としてもクレジットされている。9月7日に講談社から半自伝的小説「帰ってきたお父ちゃん」が発売される。
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俊英の元婚約者で優秀な医師。かつて、じいさんの家の二階を新居用に改装までしたが、破局。22年間のドイツ研修から戻り、俊英を訪ねて来る。
Profile 1989年生まれ。09年、映像デビュー。タイトルロールを務めた「令嬢ジュリー」(17)、「流山ブルーバード」(17)、「図書館的人生vol.4襲ってくるもの」(18)、「関数ドミノ」(22)など多くの舞台に出演。ドラマでは、「最高の離婚」(13:CX)、「刑事のまなざし」(13:TBS)、「天誅」(14:CX)「セシルのもくろみ」(17:CX)、「GIVER 復讐の贈与者」(18:TX)、「小説王」(18:CX)などのほか、大河ドラマ「麒麟がくる」(21:NHK)、「君と世界が終わる日に 特別編」(22:NTV)などに出演。映画出演作に、『幸福のアリバイ Picture』(16:陣内孝則監督)、『ハードロマンチッカー』(11:グ・スーヨン監督)、『指輪をはめたい』(11:岩田ユキ監督)など。
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俊英の親友で心療内科医。人付き合いが苦手な俊英となぜか気が合い、すべてを言葉にせずともなんとなく通じ合える心安らぐ友人。
Profile 1990年生まれ。DJ、Track Maker、Turntablist。ロンドンで行われた世界最大規模のDJ大会「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019」で優勝し、世界一のDJに。21年、東京オリンピック2020閉会式に出演する。テレビやラジオに数多く出演し、文藝春秋「文學界」にて連載を持つなど、幅広く活動中。Netflix『浅草キッド』(21:劇団ひとり監督)やドラマへの出演はあるが、劇場公開映画への出演は本作が初めて。ラッパー「R-指定」とのヒップホップユニットCreepy Nutsとしても人気を博す。
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1956年生まれ。日本大学芸術学部映画学科在学中に8mm、16mmで自主映画を撮り、注目を集める。82年『九月の冗談クラブバンド』で劇場用映画デビュー。86年、ロバート・レッドフォード主宰のサンダンス・インスティチュートに日本人として初めて招かれる。帰国後『誘惑者』(89)を発表、東京国際映画祭さくらシルバー賞、国際批評家連盟賞受賞。多数の映画祭に招かれ、ニューヨークでは劇場公開された。『ロックよ、静かに流れよ』(88)、『ナースコール』(93)、『ロマンス』(96)、『死国』(99)、『柔らかな頬』(01)、『8月のクリスマス』(05)、『西の魔女が死んだ』(08)、『少女たちの羅針盤』(11)などの話題作から、「撃てない警官」(16)「MAGI天正遣欧少年使節団」(18)といったテレビドラマ、配信ドラマまで、幅広く作品を作り続ける。06年には、オランダのロッテルダム映画祭で『闇打つ心臓』(06)がオープニング作品となり、特集上映が行われた。
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1964年生まれ。『8月のクリスマス』(05)、『西の魔女が死んだ』(08)、『少女たちの羅針盤』(11)などの脚本を執筆、長崎俊一監督作品に寄与する。水島かおり名義で女優、雲丹名義で映画編集としても活躍している。
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作曲家・ピアニスト。学生時代よりバンド活動を始め、ピアニストとして様々なアーティストの録音やコンサートに参加、作曲活動も始める。映画音楽においては中村義洋監督『ルート225』(06:中村義洋監督)、『彼らが本気で編むときは、』(17:荻上直子監督)、『岸辺の旅』(15:黒沢清監督)などを手がけている。「あまちゃん」(13)、「いだてん」(19)など多くのドラマ、ドキュメンタリーの音楽制作にも演奏や作曲、編曲で参加。室内楽の委託作品の作曲、Giulietta Machineとして4枚のアルバムをリリースするなど活動はジャンルを問わず多岐にわたる。
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料理好きの母の影響で料理好きに。知人の勧めで参加した映画『恋は雨上がりのように』(18:永井聡監督)をきっかけに、映画やドラマ、CMなどのフードコーディネーターとして活躍。参加した作品に、映画『とんかつDJアゲ太郎』(20:二宮健監督)、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(22:西谷弘監督)、ドラマ「おいハンサム!!」(22:CX)などがある。
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1978年、「戻っておいで・私の時間」でデビュー。「September」「不思議なピーチパイ」などがヒット。結婚後は「元気を出して」「駅」など多くの作品をアーティストに提供しながら、84年にシンガーソングライターとして活動を再開。94年のベスト・アルバム『Impressions』が350万枚の大ヒットを記録し、『Bon Appetit』や『Expressions』がミリオンを達成。14年に発表したアルバム『TRAD』は日本レコード大賞最優秀アルバム賞を受賞。15年、岩谷時子賞を受賞。18年、デビュー40周年記念アルバム「Turntable」がオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得。「昭和・平成・令和、3時代で1位を獲得した初の⼥性アーティスト」、「アルバム⼥性最年⻑1位獲得アーティスト」となり、「第61回輝く!日本レコード大賞」にて特別賞を受賞。さらには「第70回NHK紅白歌合戦」にファン待望の初出場を果たした。2020年には初の映像作品『souvenir the movie 〜MARIYA TAKEUCHI Theater Live〜(Special Edition)』を発売し、オリコン週間DVDランキングにて1位を獲得した。
2022年8月31日(水)、本作の主題歌「幸せの探し方」はじめ、「シングル・アゲイン」、「告白」、「マンハッタン・キス」、「家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」など大ヒットシングルが多数収録されたオリジナル・アルバム『Quiet Life』の30周年を記念し、最新リマスター盤が発売される。